ゲームレビュー『ヴァルシリアアーク ヒーロースクールストーリー』 No.10

ゲームクリア後に深く掘り下げながらネタバレなしで丁寧に解説していくゲームレビュー。今回のタイトルは『ヴァルシリアアーク ヒーロースクールストーリー(Valthirian Arc: Hero School Story)』です。

タイトル画像

2020年1月30日にPS4/Nintendo Switchから配信が開始されました。開発はインドネシアのAgate、日本語版の販売はレイニーフロッグとなっています。PC版としてSteamから2018年10月2日に発売されていたゲームの日本語版で、学園運営とアクションRPG要素を持った独特なスタイルを持つゲームになっています。

今回はNintendo Switch版でのプレイ、レビューになります。

ゲームの紹介

ストーリー、世界観、グラフィック

中世ヨーロッパを彷彿とさせるような剣と魔法のファンタジーの世界でヴァルシリア国という国を舞台にして物語は始まっていきます。プレイヤーは英雄を育てる歴史ある学園の学園長となり、生徒たちを英雄に育て上げ、卒業させる役目を担います。

ストーリー

このヴァルシリア国は5つの国に分かれその中央に女帝を据えた女王制を取っており、この5つの国もそれぞれ女王たちが統治しています。ストーリーはこの女帝が倒れ、その座が空位となることで動き始め、プレイヤーはメインストーリーとなるミッションや、5つの国の女王たちから出されるミッションを選びながらこなしていくことで物語を進めていきます。

5つの国の女王

グラフィックは最新の大作ゲームと比較すると流石に見劣りはしますが、海外製のゲームでありながら日本製のRPGのような雰囲気があり、親しみやすさのあるデザインでゲームのコンセプトとマッチしたものになっています。

イベントシーン

学園運営

ゲームとしては、学園内に教室や学生寮など様々な施設を設置していき、生徒たちでパーティーを組んでミッションをこなしレベルを上げて卒業させることで資金と名声を獲得し学園を発展させる、というのが一連の流れです。

施設には戦闘時の獲得経験値を上げる教室や、一定期間ごとにお金や名声を獲得できるカフェテリアや噴水庭園などがあり、施設によってはアップグレードすることでそうした効果をアップさせる事ができるものもあります。

施設建築

こうした施設を建築して学園の基盤を作り、生徒たちをミッションに送り出し、育成していくのですが、一定期間内に必ず一人は卒業させなければならないという制限もあるので、生徒たちを育成しながら、より強い英雄へ育てるのか、卒業してもらい学園を成長させるかの選択をする必要があります。

生徒を卒業させるとお金と名声が手に入り、名声が一定値まで貯まると学園ランクが上がり新たな施設がアンロックされたりアップグレードができるようなります。また最初に入る生徒の最大レベルは10ですが、ランクを上げることで、その後入る新入生の最大レベルは上がっていき、より強い生徒を作ることが可能になります。

施設もりもり
施設が充実してくると補正がてんこ盛り

施設を建設するにはお金が必要ですが維持費などは一切かかりません。また建築費とアイテム購入以外の出費のようなものは一切ないのでいわゆる経営要素は無く、あくまで生徒の育成がメインのゲームとなっています。

生徒たちは学生寮を建築することで入学できる最大生徒数を上げていくことが可能ですが、「難易度の高いミッションをこなすための強い生徒の育成」と、「名声とお金を増やし学園を成長させるための卒業」の効率的な選択を迫られることになります。

生徒たちの育成要素

生徒たちはレベルを10以上に上げるとランクアップさせることが可能で、見習いから騎士、魔法使い、スカウトの3つに派生し、更にそこからそれぞれ上級職へランクアップさせることが可能です。

ランクアップ画面

装備は武器の他にアクセサリが2つあり、時折学園に訪れる商人から購入したりミッション中に手に入れたりする他、装備品のレシピと素材を集めることで装備を作成することも可能になっています。

装備画面

戦闘パート、ミッションの選択

生徒たちは4人一組のパーティーを組み、パーティー単位で各ミッションに向かうことになります。請け負うミッションは、戦闘パートで生徒たちを操作し決められた目標をクリアすることでミッション完了となる通常のものと一定期間生徒たちを派遣し、期間終了後生徒たちが帰ってきた際に成否が発表される「お使い」ミッションの2種類があり、生徒を派遣しつつ通常ミッションをクリアしていくような形になります。

お使いミッション進行画面

戦闘パートは見下ろし型の3DマップでアクションRPG的なものになっていて、4人パーティーの内一人を操作して進む形で、通常攻撃とそれぞれの職業ごとの必殺技的なスキルを駆使して進みます。

戦闘画面
操作キャラはいつでも変更可能

ゲームレビュー「数多の英雄を育てる育成ゲーム」

シンプル・イズ・ベストな学園運営

学園運営ということで経営要素のあるゲームなのかと思いましたが、このゲームでは経費がなくシンプルな形になっています。収支を気にしながら黒字運営を~みたいな下手をすればストレスにしかならない要素は無く、シンプルに生徒の育成に励むことができるのはゲームのコンセプトとしてとてもいい形になっていると感じました。

施設を建設可能な空き地。室内と室外があり、大きさが3種類。適切な大きさに建設可能。

生徒を最大レベルまでレベルアップさせて卒業させたり、シーズンごとに定められた職業の生徒を卒業させるとボーナスが貰えるなど、誰をどの職に就かせるか、いつ卒業させるかなど考えどころが多くまさに学園長としての面白さが感じれると思います。

卒業式

生徒たちは見習いでスタートして上位職へランクアップさせていくことで大きく成長していきます。レベルを上げるごとにステータスも大きく上昇していくので戦闘の際は、キャラの成長具合がはっきりと感じられて手応えが得られるバランスになっており、達成感が感じれるとともに、この生徒がいないとこのミッションはキツイかな?と愛着が感じられてとても面白いポイントになっていると思います。

豊富なミッション

ゲームの大半はミッションをこなす部分に当てられるかと思いますが、メインストーリーとなるもの以外にも、学園近郊のミッションから各主要キャラクターから依頼されるミッション、5つの王国から出されるミッションなどかなり豊富にあり、全てやりきれないぐらいの数があります。

ミッションはいっぱい

ただ単に数をかさ増しするのではなく、5つの国それぞれとの関係性を高めたり特定の人物から出される連続性のあるミッションなどがあることで、プレイするミッション選びに良いアクセントが加えられていると感じました。

パーティーも最大3つまで組むことが可能で、メインのパーティーの他にお使いミッションに派遣することでサブパーティーの生徒たちも同時に育成していくことが可能で、こうしたミッションの豊富さが育成要素を上手く支えていると思います。
パーティー管理画面

気になるポイント

シンプルすぎる戦闘パート

戦闘パートはかなり簡素なアクションRPG風のデザインで、かなりシンプルなスタイルです。職によってそれぞれ個別にスキルはあるものの戦闘そのものに大きなアクセントを加えるまでには至っておらず、遠距離攻撃、近距離攻撃の違いこそあるものの、基本的には敵に近づいてはポコポコ殴るだけ、という形になってしまっています。

戦闘画面その2

ミッションの種類も素材集めや人質救出などバリエーションがありますが、どのミッションを選んでも似たような形のマップが続き、どのミッションでも道すがらモンスターたちを殴りながら進んでいく形なのでどうしても同じような展開が続き、飽きやすさがあると感じました。

いびつさの残るバランス

このゲームでは武器とアクセサリを2つ装備できますが、武器の攻撃力はかなり大きな幅があり、10~30ぐらいのものもあれば300以上あるものもあります。強い武器を手に入れる前の高難易度ミッションではなかなか敵モンスターにダメージが入らない状態が続き、逆にパーティーに行き渡り始めるとゲームの難易度はガクッと下がり、高難易度ミッションでも適当に通常攻撃を連打するだけで簡単に勝ててしまったりします。

装備レシピ

レベルアップによるステータスの上昇幅が大きいのもあり、かなりざっくりとした戦闘バランスで、決して大きな欠点ではないですが気になるポイントの一つです。また装備できるアクセサリに関しても、武器に比べ上昇する能力値が極端に低く、装備品として機能していないのが気になります。

アクセサリ
アクセサリの能力値アップはほんの僅か

ミッションの難易度は星の数で表されていますが、上記のようなことが原因なのか同じ星の数でも実際にプレイすると簡単なものもあれば全く歯が立たないものなど、かなり振れ幅があり難易度がひと目ではわかりにくく感じました。

総評

良い点、悪い点

良い点
・生徒育成の面白さ
・シンプルな運営要素
・馴染みやすいグラフィック

悪い点
・単調な戦闘パートと難易度バランス
・代わり映えしない大半のミッション
エラー落ち(Nintendo Switch版限定?)

Nintendo Switch版限定のものなのかもしれませんが、エラー落ちがかなり多かったです。ミッションを選びパーティーを選択したあとのロード画面において幾度となくエラー落ちをしました。オートセーブ機能があるおかげで巻き戻されたりとかは無いのですが、流石に回数が多いので悪い点の一つとして加えました。

まとめ

このゲームの主題は生徒の育成にあると思います。学園運営も運営というよりは、育成を手助けする施設を設置していくものであり、経営要素はありませんが、むしろ経営部分がないおかげで学園運営にまごつくこと無く生徒育成に集中できるのは大きなポイントであると感じました。

生徒たち

しかし、ゲームの大半はミッションを繰り返しクリアしてく部分であり、この部分で似たようなミッションを何度もプレイしなければならず、戦闘部分もシンプルであるがゆえに単調作業に終始しがちでこの部分は大きく好みが分かれるかもしれません。ただこの単調さがそれほど気にならないという方であれば十分に楽しめるゲームであると思います。

好みの分かれるシンプルすぎる戦闘パートとミッションで何世代も前のようなチープさの残るグラフィックですが、学園運営という題材を含めて馴染みやすさと取っ付きやすさがあり、ストーリーも5つの国との付き合い方次第でエンディングが変化するなど、いろいろな魅力が含まれた作品でもあると思います。

卒業生

翻訳のレベルも多少の違和感こそあるものの全く問題ないレベルです。プレイ時間は約10時間ほどですが、後半はメインストーリーとなるミッションを優先して進めたため、もしほかのミッションも入念にこなしていくのであればプレイ時間はもっと長くなると思います。

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