ゲームレビュー『Ori and the Will of the Wisps』 No.11

ゲームクリア後に深く掘り下げながらネタバレなしで丁寧に解説していくゲームレビュー。今回のタイトルは『Ori and the Will of the Wisps』です。

タイトル

2015年3月11日に発売された『オリとくらやみの森(原題:Ori and the Blind Forest)』の続編で、開発はオーストリアのMoon Studios、販売はXbox Game Studiosとなっています。PCやXbox One用のタイトルとしてSteamやMicrosoftストア等で販売中です。

ゲームの紹介

メトロイドヴァニアの骨太アクションゲーム

ひと目見ただけでわかるその幻想的で細部まで書き込まれた美麗なグラフィックが特徴で、蜘蛛やフクロウなど生き物をモチーフにした寓話的ストーリーが特徴のアクションゲームです。サイドビュー視点のいわゆるメトロイドヴァニアと呼ばれる形式のゲームになっていて、ストーリーも前作である『オリとくらやみの森』からしばらく時間が立ったあとの話として描かれます。

オープニング

グラフィックや世界観のクオリティは凄まじく、一見するとそうしたグラフィックや世界観をメインにしたストーリーが主導のゲームのように見受けられますが、主人公キャラクターのオリを巧みに操りマップを進んでいく爽快感もこのゲームの大きな特徴になっており、見た目とは裏腹な本格派アクションゲームとなっています。

追われるオリ

サイドビュー視点のマップは広大でそれぞれ見た目も仕掛けも特徴的なエリアにより構成されていて、主人公オリの多彩なアクションを駆使してこれらを踏破していくことになりますが、ときにはフィールド上の敵の攻撃を利用するなど、工夫とアイデアが求められたりもします。

壁に捕まるオリ
壁にしがみついてジャンプの足場にできる

多種多様なアクション要素

主人公オリは各エリアにある木の中に埋まっている光の玉を吸収することで、新たなアクションを習得できます。各エリアはそのエリアで手に入れたアクションを駆使することで攻略できる仕組みになっていて、新たなエリアに入っては新しいアクションを習得し、これを繰り返していくことで、ゲームは進行していきます。最終的に習得するアクションの種類は多岐にわたります。

アクションの習得
回復スキルも習得するためダメージを受けても問題にはなりにくい。

習得するアクションは、ダッシュや遠距離攻撃などのほか、敵の弾を弾き返しながら反対方向へジャンプするものや滑空飛行するもの、ジャンプ中に任意の方向へダッシュするものなど様々で、状況やマップの構造に合わせて上手くアクションを活用しなければいけません。

アクション要素その1
「打撃」のアクションを習得すると、ランタンや敵の弾もしくは敵自体を踏み台にするように任意の方向にジャンプできる。弾は反対方向へ跳ね返る。

オリには体力とエナジーの2種類のゲージがあり、エナジーは特殊なアクションを使用する際に消費し、敵を倒すことなどで回復していきます。体力が尽きても特にペナルティはなく、直前から即再スタートすることが可能で、難しいポイントであっても気兼ねなく挑戦することが出来ます。

戦闘と強化システム

攻撃アクションは3つまでスロットに登録することが可能で、さらにこの登録は常時いつでも変更可能になっていて敵やマップの構造に合わせて切り替える必要があります。マップを進めるために必要になる主要なアクションは前述の光の玉を吸収することで覚えますが、それ以外のアクションはオファーというNPCキャラから購入することで覚えることが出来ます。

アクション購入と強化
購入して手に入れたアクションは更にお金(精霊の光)をかけることでアップグレードすることが可能。

オリの通常攻撃になる精霊の刃は空中であってもその場で何度も連続攻撃することが可能で、多彩なジャンプアクションと壁に掴まる能力と組み合わせることでスタイリッシュな戦闘が可能になっています。

戦闘シーン

精霊のかけらという装備アイテムがあり、マップ上で手に入れたり、NPCから購入することで手に入れることが可能で、被ダメージを抑えるものや、壁に捕まってもずり落ちずにその場で留まれるようになるものなど種類は豊富にあります。

精霊のかけら
ダメージ増加や攻撃ごとにエナジー回復など特性を大きく変化させることが可能。

これらをスロットに装備することでその効果が発揮されますが、初期スロットは3つで、戦いの殿堂という場所で敵との連戦バトルをクリアすることでスロットの数が増えていきます。

戦いの殿堂
起動すると敵が次々に現れる戦いの殿堂。全て倒し切るとスロットが開放される。

クエスト、村の成長

マップ上には様々なキャラクターが点在していて、サイドクエストを依頼されることがあります。数自体も決して少なくなく、道すがらいつの間にかクリアしてしまうものもあれば、きちんと労力をかけなければいけないものなど様々です。

サイドクエスト

マップ上にはゴーレク鉱石というアイテムが散在しており、これを見つけ出し、集め、グロムというキャラクターに預けることで森の空き地が再建されていきます。このゴーレク鉱石やその他の特殊アイテムの獲得はマップ探索の意味付けとして大きな役割を担っており一見すると取れなさそうな場所にあるなどアイデアと正確なアクションが求められるポイントです。

村の再建
集めたゴーレク鉱石を使って村を再建。

ゲームレビュー「ハイスタンダードアクションゲーム」

すべてがハイクオリティ

グラフィックや世界観はもちろん、アクションの手触りもクオリティが高く、とにかく完成度の高さが目につく作品です。プレイ開始からクリアまでその評価は揺るがず、大きな欠点を見せることなく高いクオリティが終始維持されています。

難易度選択
難易度は全部で3つ。

また、テキストや台詞の少ないゲームですが、プレイヤーの操作からシームレスにイベントシーンへ移行するなど、世界観を崩さないような丁寧なストーリーテリングが印象深いです。続編では有るものの、ストーリー自体は今作のみで独立していて、専門用語や過去のストーリーが持ち出されることもほとんど無く、前作を未プレイであってもすんなりと作品へ入っていけるように感じました。セリフやテキストの少なさもこの点においては、かなりプラスに働いていると思います。

ストーリー

「精霊のかけら」を装備することでオリの性能を変化させたり、そうした特殊アイテムがマップの各所の取れそうで取れない場所に配置されていたり、サイドクエストが適宣与えられたりと、とにかく広大なマップの進行が退屈にならないようきめ細やかな作りになっていて、個々の要素は決して目新しいものでもないかもしれませんが、ゲーム全体のクオリティを向上させる大きな要素になっていると思います。

アイテムを追って
取れそうで取れないアイテム。

主軸はアクション

操作キャラクターであるオリは、最初は攻撃手段すら持っておらず、アクションもジャンプしかありませんが、エリアごとに新しいアクションを習得していくことで、進行できるエリアが段階的に開放されていきます。このゲームはどちらかといえば敵との戦闘よりはアクションを利用したマップ踏破が主軸になっており、この段階的に開放されていくアクションとエリアという構造のおかげで、飽きること無く最後まで高いモチベーションが維持されます。

アクション購入画面

大抵のアクションゲームは中盤頃にはアクションはたいてい出揃い、後半はそれを駆使して進行するというのが多いですが、このゲームでは終盤でも新しいアクションを習得していきます。特に移動系のアクションは豊富で、オブジェクトを利用した移動はかなりの種類があります。

青い蕾
垂れ下がった青い蕾のようなもの。オリを蕾の方向へ引き寄せることができる。

敵との戦闘も、数こそそこまで多くないものの、数多のアクションと連続攻撃を上手く活用する面白さがあり、アクション主体のゲームの中では大きなアクセントになっています。ボス戦の数は決して多くありませんが量よりは質を重視している形になっていてマップ進行の邪魔にならないよう、適度な回数と難易度に落ち着いています。戦闘はこのゲームの主軸ではないというコンセプトが感じられるポイントですが、ゲーム全体の進行を考えると大きく成功しているポイントでも有ると感じました。

ボス戦

コンセプトは十分、あとは好み

全体を通して一貫したコンセプトがはっきりと感じられ、それ故、ハイクオリティな作品になっていますが、コンセプトがはっきりとしている分、好き嫌いや「こうしてほしかった」という部分も多少出てくるかもしれません。

前述のようにアクションを多用したマップ踏破がメインのゲームであるがゆえに戦闘に関してはそれほど濃密なものにはなっていない印象です。攻撃アクションや強化要素など色々有るにもかかわらず、雑魚やボス戦の回数は意図的に少なめに作られていて、人によってはボス戦などもう少し回数が欲しかったと感じるかもしれません。

戦闘シーン

プレイヤーの操作からスムーズにイベントシーンに移行して、巨大な怪物から逃げるパートではこのゲームの醍醐味を存分に発揮した素晴らしい瞬間になっています。ただ、何度かあるこの怪物などからアクションをフル活用して逃げるパートは使用するアクションが多く、正確な操作が求められるため成功すれば爽快感がありますが、失敗すれば最初からやり直しになるため、難易度と逃避距離の伸びる後半でのパートでは失敗が続くと、この要素自体がややクドく感じてしまう可能性があります。

雪崩からの逃亡シーン

段階的に習得していく豊富なアクションも飽きること無くプレイできる素晴らしい要素ではありますが、やや似たような傾向のアクションが多く、後半に至っては少々混乱しがちなところが出てくるかもしれません。また習得したアクションを正しい場所で使うことでマップを進めることができるようになるため、オブジェクトを見落としたり、単純にアイデアが足りなかったりするととたんに行き詰まり、どこに向かえばいいかわからないという状況に陥りやすいです。

マップ画面

ストーリーもまた寓話のような教訓めいた考えさせられるストーリーで、演出もしっかりなされていはいるものの、グラフィックやアクション要素に比べればいくらかインパクトが弱い印象です。

総評

良い点、悪い点

良い点
・世界観、グラフィック、それを生かした演出
・豊富なアクション、マップ構成
悪い点
・控えめなストーリー

まとめ

アクションメインで種類も多いため、若干混乱しがちなところはありますが、とはいえハイクオリティなゲームであるため例えアクションが苦手であっても十分楽しめる作りになっていると思います。ゲームのコンセプトから多少の好き嫌いは出るかもしれませんが、買って後悔することは稀でしょう。

ストーリーや、マップ進行に多少迷いがちな所など少なからず気になる部分もありますが、それを補って余りある魅力に溢れたゲームであると思います。プレイ時間は18時間ほどでクリアしました。サイドクエスト、マップ探索等未クリアであったりまだ侵入できていないエリアもあり、完全にこなそうと思うともっと時間を費やす必要があります。日本語の翻訳は違和感を感じる場面はほとんどなく、よく出来ていると思います。

印象的な場面