『Lost Ember (ロスト・エンバー)』 ゲームの紹介とレビュー

タイトル画面2019年11月22日Steamより発売されたアクションアドベンチャーゲーム「ロストエンバー」。PlayStation4、XboxOne、Nintendo Switchでの発売も予定されています。開発・販売はドイツのMooneye Studiosで、クラウドファウンディングKickstarterでの支援を元に開発が進められた経緯をもつ、期待のゲームです。

ゲームの特性上、ストーリーのネタバレ等を極力排除して書いていますので、やや抽象的な内容になると思いますがご了承ください。
今回はPC版(Steam)でのプレイを元に書いています。

1.どんなゲーム?

2.ゲームの評価、レビュー

3.良い点、悪い点、まとめ

1.どんなゲーム?

ー 水は我らを率い、炎は我らを解き放つ、光は我らをあるべき地に導かん。それこそが光に都への道。汝、ヤンレンの訓えを守るものならば、命の炎を消す時、舞い上がりし火花の如く光の中へと上りゆかん。訓えに倣わざるものならば、獣となりて荒野に彷徨う。
それが迷える灰、ロスト・エンバー ーロストエンバー 言葉の意味ゲーム冒頭で語られるこのロストエンバーという言葉の意味はストーリーを勧めていく上で重要なものになります。舞台は隆盛を極めた古代文明が失われ、大自然の中にその痕跡が点在する世界。一匹のオオカミが謎の魂の光とともに広大なフィールドを疾走しながら、各地を回って過去の記憶を集めて行くというのがこのゲームの内容の大部分になります。主人公として操作するキャラはこのオオカミで、「魂替え」という特殊能力を授かることになります。魂替えは簡単に言うと近くにいる他の動物に乗り移ることができるもので、鳥に魂替えすれば、空を飛ぶことが、魚に魂替えすれば、水の中を泳げるようになる能力です。乗り移ったあとも、ボタン一つですぐに元のオオカミの姿に戻ることが出来ます。

ゲーム画面

魂替えできる動物は最終的には10種類を超え、それぞれ愛くるしい仕草があったり特徴的な能力を持っているので見ているだけで楽しめる要素があります。

ウォンバット
ウォンバットさん、体が小さいので狭いところを通れます。

また、戦闘は一切なく、アクション要素や謎解き要素もありません。オオカミの姿では通れないところを前述の魂替えをして通るというぐらいなもので、あとはひたすら、オオカミや鳥や魚の姿でフィールドを駆け抜けていくゲームです。ごく一部にいわゆるQTEと呼ばれるものがありますが、難易度的には全く難しくなく、ゲーム進行に支障が出ないよう配慮がされています。

フィールド上には、「キノコ」や「宝物」などのコレクションアイテムが点在していて、これを集めるやりこみ要素的なものがありますが、普通にプレイしていればおよそ5時間ぐらいでゲームクリアになると思います。ゲームは章立てになっていて、クリアした章は、チャプターリストから遊び直すことができるので、コレクションアイテムをすべて集めるとなるとプレイ時間はもっと伸びると思います。キノコのコレクション

日本語対応は字幕だけでなく、日本語音声もついています。翻訳の質については、ストーリーのラスト近くで翻訳と演技にかなり違和感のあるポイントが一つだけあり、そこは残念なポイントですが、全体としてみると良好と言ってもいい出来であると思います。声優さんの演技も素晴らしく、ゲームを引き立てていると感じました。

2.ゲームの評価、レビュー

このゲームの柱となっているのはグラフィック、ストーリーです。超美麗なフォトリアルなグラフィックというには及びませんが、空間を感じれるような効果的な画面作りがされていて、純粋なグラフィック以上に魅力的な見え方になっていると思います。とくに疾走しているときの「疾走感」の演出にはこだわりが感じられ、走っているだけで気持ちよさを感じれるものになっています。基本的には草原や洞窟的なところなどが多く、全体のバリエーション自体もそれほど多くはないため、飽きやすいかなと思いましたが、魂替えで視点が変わったり、見せ方の工夫で上手く補っていると思います。

ストーリーは詳しくかけませんが基本的に成功していると思います。この辺は個人の好みでだいぶ評価が変わると思うのでストーリーの内容については書きませんが、ストーリーの見せ方語り方の部分、ストーリーテリングはかなり優れている思います。ゲーム全編を通して、台詞の少ないゲームであり、過去の回想シーンでも、キャラクターたちが動くわけではありません。ある種の紙芝居的な見せ方ですが、この見せ方がかえってプレイヤーに想像力をもたせ、よりゲームに没入しやすい状況を作っていると思います。低価格ゲームであるがゆえに仕方なく演出を簡素にしました。という感じではなく、明確にコンセプトとしてこうやりますという雰囲気を感じました。また過去の回想として古代人たちの行動や動きをあとから追いかけていくような演出は、フィールドを駆け抜けていく要素とうまく絡み合っていて相乗効果を出していると思います。回想シーン

このグラフィックとストーリーの見せ方はかなりコンセプトがしっかりしていて素晴らしいのですが、気になった点としては、ここを成立させるために他の要素が省かれている点です。キャラ操作として歩いたり走ったり以外のアクション要素は無く、戦闘もない、フィールド探索としてならオープンワールドチックな作りでも良さそうですがそれもなく、ストーリーを進めるだけならほぼ一本道です。良く言えば研ぎ澄まされたゲームですが、悪く言うならグラフィックとストーリー以外なにもないゲームです。プレイ時間もおよそ5時間くらいとかなり短いです。ストーリー部分に関してはリプレイ性も低く、フィールド探索が楽しめる人でないと、ボリューム不足に感じるかもしれません。鳥に魂替え

また、キャラ操作は三人称視点なのですが、操作キャラがオオカミなど視点が低いのと狭い場所などで頻繁に視点移動しなければいけないとか、視点移動に微妙に慣性がかかっているとか諸々条件が重なってしまっていて若干3D酔いしやすいゲームかもしれません。

3.良い点、悪い点、まとめ

良い点
明確なコンセプト
ストーリーテリングとグラフィック
魂替えのシステム

悪い点
ボリューム感
ゲーム要素の少なさ

まとめ
全体としてみると値段なりの価値はあると言っていいと思います。このゲームの中心は自然豊かなフィールドの疾走とそのグラフィックや演出を活かしたストーリーテリングであり、この部分は大きな成功を収めていると思います。しかし、それ以外の部分にはこれといったゲーム要素がなく、美しいグラフィックとその中を駆け回ることのできるサウンドノベルゲームといった印象を持ちました。

開発者自身がかつてPS3で発売された風ノ旅ビトというゲームに大きな影響を受けたというだけあり、独特のスタイルをもった「尖ったゲーム」であることは間違いありません。それ故、激しく人を選ぶゲームであると思います。またストーリー自体もオーソドックスでありながら意外性のあるストーリーで楽しめると思いますが、どちらかというとグラフィックを含めた見せ方や演出の旨さで成功させている形なので、評価自体も人によってかなり揺らぎそうな気がします。

色々変なことを書いてきましたが、大雑把に言うなら雰囲気ゲーであり、この雰囲気にピンときたならおそらく買って間違いないと思います。なかなか万人におすすめできるゲームではありませんが、ゲーム好きを自称する方にこそ賛否はともかく一度プレイしてみてもらいたいゲームです。

PC版の補足として、クリアまでの間にクライアントエラーが2回、読み込みエラーで進行不可になったことが一回ありました、チェックポイントは細かく取られているのでいずれもチェックポイントからやり直すことで事なきを得ました。