ゲームレビュー『Blasphemous(ブラスフェマス)』 No.07

ゲームクリア後に深く掘り下げながら丁寧に解説していくゲームレビュー。今回のタイトルは『Blasphemous』です。

タイトル画面その22Dアクションゲーム「Blasphemous」が2019年12月19日にPS4、Nintendo Switchから発売されました。2019年9月10日にPC版が先行して発売されていて、日本語訳の追加とともに家庭用版も合わせて発売という形になりました。開発はThe Game Kitchen、販売はTeam17です。今回はPS4版でのレビューになります。

1.ゲームの紹介

2.Blasphemousは面白いのか?

3.総評と感想

1.ゲームの紹介

イベントシーンピクセルアートで描かれたダークファンタジーの世界観をベースに、印象深いゴア表現とともに語られる宗教色の強いストーリーという個性的な主題を持つ異色のゲームです。アクションゲームとしてはいわゆるメトロイドヴァニアと言われる古典的な2Dアクションゲームのスタイルを取っており、世界観とは裏腹にゲーム自体は極めてとっつきやすいものであると思います。主人公の武器は大きく分けると2つ、「懺悔の剣」による通常攻撃と「祈詞」と呼ばれる魔法のようなものです。懺悔の剣は点在する「懺悔の剣の祭壇」を訪れることでレベルが上っていき、レベルが上がるごとに戦闘テクニックをアンロックすることができるようになります。祈詞はクエストやボスを倒すなどして手に入れ、装備することで使用できますが、装備スロットは一つだけで複数装備することは出来ませんが、種類は攻撃速度強化や雷を呼ぶ攻撃魔法など様々です。

スキルツリー
アンロックしていくことで溜め攻撃やダッシュ攻撃などが使えるようになる

主人公のアクションとしてジャンプ以外に「パリィ」と「ダッシュ」の2つ要素があり、パリィは敵の攻撃に合わせてボタンを押すことで攻撃を防ぎ、カウンターを決めることができるアクションで魔法攻撃などを除き、通常の打撃攻撃なら大体の攻撃は防げます。もう一つのダッシュは、地を這うスライディングで単純に攻撃を回避するときに使用する緊急回避的なものです。

主人公の装備アイテムは「ロザリオ」「レリック」「剣の心臓」の3種類あり、ロザリオは防御力強化や属性ダメージ軽減など主人公の能力を強化するもので、スロットにハメ込むことで装備します。初期スロットは2つ、スロットを拡張することで最大8個まで装備でき、マップ上の宝箱やクエストをこなすことで手に入れていきます。レリックは今まで見えなかった足場が見えるようになるなどダンジョン攻略の幅を広げるアイテムです。こちらもクエストをこなすことで手に入ります。「剣の心臓」はパリィの受付時間を長くしたり、祈詞の強化をしたりなど様々ですが、どれも弱体要素とセットになっていて強化というよりは主人公キャラの性質を変化させるようなアイテムになっています。

胆汁のフラスコ
ダークソウルのエスト瓶的な回復手段

マップはかなり広大で雪原、寺院、地下道などエリアごとにバリエーションも豊かですが落下死など即死要素も多く、注意しながら進まなければいけません。雑魚敵も癖のある攻撃パターンが多く、それぞれ対処法をきちんと考えて攻略しなければ簡単にHPは尽きてしまいます。死亡するとその場所に「罪過の欠片」と呼ばれる魂のようなものが残り、これを回収するまでの間、ゲーム内の通貨である「償いの涙」の獲得量減少や、祈詞を使用するために必要な熱情(MP的なもの)の最大値の減少などのペナルティが付きます。マップ上に残る欠片は一つだけでなく、死んだ数だけ残り、ペナルティはその数だけ加算されていきます。

死に戻り

開発者の方が影響を受けたゲームとして『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』『ストライダー飛竜』『大魔界村』『ダークソウル』を上げていることからもわかるように、全体として高難易度のゲームであり、プレイフィールはまさにこれらのゲームに近いものがあると思います。

2.Blasphemousは面白いのか?

独特であり暗く冷たさすら感じる世界観と設定、重厚かつ印象深いストーリー、古典的ながら作り込まれたスリリングなアクション部分。低価格インディーゲームのなかでは抜きん出て完成度の高いゲームであると思います。しかし、注意しなければいけないポイントも多いゲームです。

世界観はグラフィックを見ただけでそれと理解できるほどはっきりとしたコンセプトを持っていて、ストーリーもまたこの世界観ならではのもので他のゲームにはない独自性を大きく持っているゲームであると感じました。グラフィックはピクセルアートで懐かしさを感じるようなレトロ感がありますが、むしろそれが世界観とマッチして美しさすら感じます。イベント途中で差し込まれるアニメーション画像は、ゴア表現をふんだんに使用してインパクトある画作りがされていて、好みの分かれそうな部分ではありますが、このゲームのコンセプトからして非常に効果的に働いていると感じました。イベントシーン

ゲーム部分も相当作り込まれていると思います。ダークソウルシリーズのように高難易度を目指して作られたゲームであると思いますが、ユーザーフレンドリーな部分も多く、ただ単に難しくしただけのゲームという印象はありません。マップは広大ですが復活ポイントもボス前においてはほぼ直前ぐらいに配置され、マップ全体を通して見ても、上手くショートカットを配置することで復活してから再挑戦までが長すぎるということが少なくなるよう、いい形で点在していると思います。

他にも調整されたバランスと感じる点では、敵の攻撃を受けると通常はノックバックしますが、ジャンプ中に敵の弾や敵本体にあたってもノックバックせずそのままの軌道でジャンプできます。しかし、一部の敵の吹き飛ばし系の攻撃やオブジェクトに引っかかった場合においてはジャンプ中でもノックバックします。同じ様に狭い足場での戦闘において外へ吹き飛ばされる攻撃もあれば、飛ばされず不自然に崖際でストップする攻撃もあります。明らかに意図的に差がつけられ、マップ攻略の難易度が調整されています。人によっては統一感のない仕様にストレスを感じるかもしれませんがプラスにも評価できるポイントであると思います。プレイヤーにとって意図しない被弾やノックバックはストレスになりやすいですが、こういった細やかな調整がゲームに対するモチベーションを低下させない大きな要素になっていると感じました。戦闘シーン

マップは見た目のバリエーションもそうですが、敵の配置やギミックの分布も良く、上記のように各所入念に調整されたような作りになっており、プレイヤーを飽きさせず且つ楽をさせないよう計算されていると感じました。中盤に入る段階でもうすでに違うエリアにいた敵や色違いの敵が登場するなど敵の種類自体は少ない部類だと思います。しかし個性的な敵が多く、ギミックやマップの構造等と上手く組み合わされることで飽きにくい状況を作り出しているのだと思います。

アクション要素においても、良い印象は変わりません。パリィ、ダッシュ、遠距離攻撃や祈詞などやれることは多く、攻略に幅があるとは言えないかもしれませんが、少なくとも試行錯誤の楽しさはあります。特にボス戦はバリエーションも豊かで飽きません。難易度的に難しいボス、そうでないボスがいますが、見た目のインパクトもあって次はどんなボスだろうかと楽しみになるぐらいでした。雑魚敵も攻撃パターンと対処法を理解すればそれほど脅威ではなくなり、ボス攻略も死に戻りを何度繰り返したかわからないぐらいですが、繰り返し死ぬストレスよりも、試行錯誤の楽しさのほうが上回っていたと感じました。

ボス戦
ジャンプ、パリィ、ダッシュと回避方法は色々

マップ攻略を含めた全体の難易度については私のプレイした感覚では、甘えを一切許さない超絶怒涛の高難易度というわけではなく、数回トライすれば攻略の光明が見えてくるぐらいのものだと思います。ボス戦にしろマップの進行にしろ、完全に手詰まりになったということはなく、多かれ少なかれ足踏みをしたり、面倒くさく感じる場面はあるものの上手く調整された難易度であるといった印象です。しかし、一部のエリアなどで初見では死ぬことを前提としたような難易度も散見されるのでそういった部分でゲームに対しマイナスの印象を持ちやすい部分があるかもしれません。

エリア例
エリアによって難易度やバリエーションは様々

全体を通してクオリティの高いゲームで最後まで息切れすること無く楽しめると思いますが、気になる点がいくつかあります。まず、ストーリーですが翻訳、というよりおそらくは原文からやや難しい単語や語り口調になっていて、物語の内容がいまいち掴みづらいという点です。世界観を構築する上で仕方がない部分ではありますが、普段見慣れない言葉や漢字が羅列され要領を得るのに苦労します。更にこれと関連してクエストの難しさが挙げられます。NPCとの会話も独特のものがあり、クエストリスト的なものも無いので自分がどんなクエストを引き受けているのかわかりづらく、クエストアイテムが溜まっていくが、どこで使うものかわからないという状況に陥りやすいです。攻略サイト等を見ずにすべての要素を回収するのはかなり大変な作業かと思います。また、そうした取りこぼし要素の回収においても、マップの広大さが足かせになりやすいです。マップ上にはワープポイントがいくつか点在していますが、各エリアに1つづつといったような形なので徒歩で歩かなければいけない部分が多く、即死要素と相まってストレスになりやすいポイントです。

他にも操作関連で意図とは違う挙動になってしまう場面があるのも気になりました。このゲームは十字キーを上、横、下に入れて攻撃ボタンを押すことで、切り方向を変えることが出来ますが、ハシゴを背中にしてジャンプしながら上切りしようとするとハシゴに捕まってしまう、壁登りできる壁付近でジャンプしながら横切りすると壁につかまってしまうなど、操作の都合上仕方がない部分はありますが、これが原因で死に至るケースもあったのでマイナスとしたいポイントです。

クリアまで通しての評価とするなら個人的にはかなり面白いと感じたゲームです。ゲームの根幹はやはりアクションとマップ攻略の部分です。この部分のクオリティが終始高い状態を維持できているがゆえに世界観にしろ難易度にしろ映えるのだと思います。ともすればプレイヤーが置き去りになるような類のゲーム性やグラフィックですが、そうはならず、最後まで一貫してこだわりとバランスに血潮が注がれているのだと感じるゲームです。

エンディングはAとBの2種類あり、意識せず普通にクリアした場合、大抵はBの方になると思います。Aは決して条件が厳しいわけではありませんが攻略情報を見た上で無いとたどり着くのは難しいかもしれません。クリア後の要素は特に無く、やりこみ要素として「収集物」という色とりどりの骨を集めていくコレクションアイテムや、「月光の子どもたち」という全部で38人いるカゴの中にいる子どもたちを開放していくものがあります。現状(2020年1月2日現在)日本語の攻略サイト等もそれほど見当たらないので、海外のwiki等を見ながらでないと細かな場所や、クエストや謎解き要素をクリアしていくのは時間と根気のいる作業になるかもしれません。国内wiki等も徐々に出来始めているようです。

収集物
量は多く、普通にプレイしただけでは取りこぼしは多い。

3.総評と感想

良い点
・明確なコンセプト、世界観、グラフィック
・手堅いアクション要素
・細部までこだわりを感じるマップメイキング

悪い点
・難解なテキストとストーリー
・見失いがちなクエスト
・移動手段に乏しく、移動に時間がかかる

明確なコンセプトを持ったゲームであり、好き嫌いがハッキリと出るゲームであると思いますが、値段に対するクオリティという面においては他のゲームの比ではないと感じました。ゲーム性は古典的なメトロイドヴァニア+ダークソウルといったもので革新的な何かを持っているゲームではありません。さらに死に戻りを繰り返し何度も挑戦しながら攻略することが前提のゲームです。このゲームの強みは独特な世界観とそれを表現するための美麗なピクセルアート、そして古典的ではあるものの極めてクオリティの高いゲーム性です。その世界観やゴア表現などのために人にオススメするのは少しためらいますが、少しでも琴線に触れるものがあるなら是非プレイしてみてほしいタイトルであります。プレイ時間はマップやボスの攻略にどの程度時間が掛かるかでかなり変化しそうですが、私はいくつかのボス戦とマップで大きく足踏みすることがありましたが20時間ほどでクリアしました。すべての要素を回収して周ろうとするとまだまだ時間が掛かると思います。

 

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