ゲームレビュー『Virgo Versus The Zodiac』 No.08

ゲームクリア後に深く掘り下げながらネタバレなしで丁寧に解説していくゲームレビュー。今回のタイトルは『Virgo Versus The Zodiac(ヴァーゴVSゾディアック)』です。
タイトル画面別パターン
ゲームの概要や基本的なシステムはこちらの記事を参照ください。

 

<目次>
1.こだわりとセンスが光る良作ゲーム
  ・深みのある世界とストーリー
  ・QTEベースの緊張感ある戦闘パート
2.気になるポイント
  ・QTEの成否が鍵を握りすぎる戦闘難易度
  ・センスと裏腹な設定のわかりにくさ
3.総評
  ・良い点、悪い点
  ・まとめ

こだわりとセンスが光る良作ゲーム

深みのある世界とストーリー

ストーリーは十二星座を題材とした宇宙を股にかけた壮大なスケールで進みます。各星座は擬人化され黄金時代の再来という悲願を果たすために十二星座それぞれから冠を手に入れることを目標として、時には話し合い、時には殺し合い、冠を集めていくことになります。この過程の中で大きな選択肢がいくつかあり、その選択がマルチエンディングの結末へ大きな影響を及ぼします。

独特の世界観と設定を持ちながらそうした部分には殆ど触れられること無くゲームはスタートして物語は序盤から大きな動きを見せていきます。およそ理解が出来ないままあれよあれよとゲームは進行していき気づいたときには重大な決断を迫られる。こうしたストーリーテリングやプレイヤーに確かな決断と責任を求める選択、そして一度では全貌を把握できないほど練り込まれた世界観は物語の魅力を大きく引き上げストーリー進行を後押ししています。

ストーリー進行その1

ストーリーのエンディングを迎えると物語の大筋は語られ、もっともらしい結末を迎えますが、道中で散りばめられる気になるキーワードやそうしたキーワードから推測されそうな「主人公たちの住む世界そのものに対する大きな謎」は残ったままです。このストーリーや世界の謎が垣間見える瞬間を上手く演出することが出来ているためストーリー自身がゲーム進行を引っ張る大きな原動力にもなっています。

マップ画面

QTEベースの緊張感ある戦闘パート

QTEベースの戦闘は大きく3つの難易度が有り、設定からいつでも変更することが可能です。開発者の想定している標準の難易度である「ゾディアック」ではQTEを連続で失敗すればそれだけでピンチに陥り、大成功を繰り返せば戦闘はスムーズに終わります。QTEの成否が戦闘の難易度に直結するため終始緊張感のある戦闘が続き、中だるみのしにくい戦闘パートになっています。

戦闘はターン制バトルで3つの属性と様々なバフデバフがあります。また基本的に3人パーティーで進行していきますが装備アイテムを各キャラ8つ装備でき、各装備には使用することで毒を与えたりデバフを解除したりといろいろな能力があり、ステータス値も増減します。この装備アイテムは強化していく事もできるため、各キャラクターの役割を分担したりそれぞれのステータスに合わせた装備を整えることがこのゲームの醍醐味の一つになっています。

装備画面

戦闘は戦略が重要なゲームでもあり、各装備には攻撃力の他に相手に毒や炎上、能力値ダウンなどのデバフを与えると同時に、使用者自身にもバフやデバフを与えるものがあります。また、バフ、デバフは敵も含めて各キャラそれぞれ1種類ずつしか付かないため、すでに付いているバフは別のバフで、デバフは別のデバフで上書きすることが可能であり、いかに効果的にバフ、デバフを管理するかが戦略の大きな要素になっています。

戦闘画面

シールド系の装備を使用することで敵の攻撃をガードできますが、HPの代わりにダメージを肩代わりしてくれる「純潔」という数値が残っている間は、敵の攻撃をガードする度にカウンター攻撃をすることが可能です。純潔は基本的にはシールド/アーマー系の装備を使用することで上昇するため各キャラクターにタンクやアタッカーなどロール(役割)を想定して、装備を整えていくことも重要なポイントです。

また各装備は特定の能力をアップさせるほか、マイナスの数値が付いた装備も多くあります。装備を強化するとマイナスの数値は強化する度に軽減されていくのが普通であるのかもしれませんが、このゲームでは強化を重ねる度にマイナスの数値も上昇してきます。

装備強化

伸ばす能力、“捨てる”能力を上手く考えながら装備を整える事が重要で、こうした戦闘を見据えた事前準備と戦略にQTEの成否というゆらぎを加えることで、戦闘パートは緊張感と戦略性を両立させた独自性を上手く作り出していると思います。

気になるポイント

QTEの成否が鍵を握りすぎる戦闘難易度

戦闘においては前述の通り戦略性が重要なポイントとなっていますが、それ以上に重要なのがQTEの成否です。難易度「ゾディアック」ではQTEのおかげで最後まで緊張感のある戦闘を実現していますが裏を返せばこの成否が戦闘結果に直結しすぎており、折角の事前準備や戦略性がやや薄まってしまっています。このゲームではQTEのスピードや敵の難易度など個別に細かく設定できるので自分にあった設定をする必要があります。

難易度設定の画面

センスと裏腹な設定のわかりにくさ

ゲーム内では他のゲームにはない用語が多数使われていて、それを理解するのに少々時間がかかります。さらにステータスはもちろん、状態異常の効果とそれを表すアイコンなど覚えることは多く、見慣れない言葉であるがゆえに直感的にもわかりにくい状況が続きます。また、そうした分かりにくさを補足するようなシステムも無いので自力で試行錯誤しながら覚えていく必要があり、戦略や装備を吟味し強化していく以前の大きな壁となっていしまっています。

総評

良い点、悪い点

良い点
・豊富な装備と戦略性の高い戦闘
・QTEベースの緊張感あるターン制バトル
・センスとクオリティの高い世界観

悪い点
・QTE依存なゲーム難易度
・理解しにくい専門用語、状態異常、パラメーター
・周回要素の少なさ

まとめ

印象深いグラフィックと世界観にQTEベースの密度の濃い戦闘という他にはない強みを持った個性的なゲームであり、その強烈な個性から万人受けは難しく、さらに独特の用語や特殊効果など覚えなければいけないことも多くあり、QTEに慣れるまでのもどかしさからその面白さを感じ始めるのはプレイを始めてから少し先になるかもしれません。しかし間違いなく他のゲームにはない独自性を持った完成度の高いゲームであり、そのグラフィックや世界観、戦闘パートにハマれば数あるゲームの中でもとくに印象深いゲームになると思います。

マップ画面別パターン

音楽や効果音などの質も高く、ゲームにマッチしたものになっており、また、翻訳のレベルも非常に高く、各キャラクターの個性を十分に発揮したような掛け合いが楽しめます。

会話シーン

細部まで制作者のこだわりが感じられ、終始一貫したコンセプトが隅々まで貫徹されているゲームであり、盛り込むべきゲームシステム、そうではないゲームシステム、ストーリーに対する演出やその表現方法など明確な取捨選択がなされています。そのためゲームのクオリティは極めて高く、ゲームそのものの不備や不具合を指摘できる部分は少なく、このゲームの評価は基本的に「好み」に大きく左右されるのだと思います。

パイシーズとヴァーゴ

マルチエンディングを採用している本作ですが、プレイ時間は19時間ほどで初回をクリア、エンディングは「不動」でした。